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BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~

「花京院様が君のことどう思ってるかわかったでしょ? 他の皆様だって、同じこと思ってるはずだよ?」

確かに、莉央と一緒にいることで、自然と生徒会の面子と関わることになる。 それがファンクラブの人間は気に入らないようだ。

今までは忠告だけで済んでたけど、どうやら堪忍袋の緒が切れたらしい。
生徒会長の命令っていう建前で、好き放題してくる。

「わかったら、もう二度と生徒会の皆様に近づかな…」

「ワン‼」

「「‼‼」」

突然聞こえた犬の鳴き声。 全員、驚いて振り返る。

「佐助!?」

そこにいたのは、黒い柴犬。 ファンクラブの人間に向かって、牙を出して唸っている。

「ウ゛~…」

「な、なにこいつ…」

「し、知らないよ‼ 邪魔だからあっちいって‼」

佐助の登場に驚くファンクラブの人間。

さっきまでの威勢の良さはどこ行ったんだよ…

「ワン‼」

「「うわっ‼」」

佐助がもう一度吠え、近くにいた奴に噛みつこうとすると、みんな一目散に逃げて行ってしまった。

「なにあいつ‼」

「絶対、許さないからね‼」

捨て台詞を吐きながら、逃げて行くあいつら。

「っ…」

「クーン…」

足に力が入らず、膝から崩れ落ちると、佐助が心配そうに傍に寄ってきた。

「ありがとな、佐助。」

笑いながらお礼を言えば、佐助は嬉しそうにしっぽを振って顔を舐めてきた。

「ははっ‼ くすぐったいって‼」

佐助は、俺が世話している野良犬。 子犬の時に怪我をしているところを見つけ、それからずっと世話してるんだ。
この学校は敷地が無駄に広いから、野良猫や野良犬が何匹かいて…元々動物好きなのもあって、俺はそいつらの世話をしてるってわけ。

人見知りの佐助は、子犬の時に助けてもらったことを覚えているのか、妙に俺にだけ懐いている。

「っ…いてて…」

あーあ…これ、痣になるだろうなぁ…
でも、佐助が助けに来てくれて、ほんとによかった……

「佐助、俺保健室行ってくるから。 また後でな?」

「ワン‼」

佐助と別れ、保健室に向かう。

はぁ…莉央に気づかれないといいけどなぁ…

保健室に着くまでの間、俺はずっとそのことを考えていた。


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