BL~中編・長編集2~
第15章 ~ほんとに好きなのは…?~
「大智ーー!!」
リンチに遭ってから早一週間。 俺の日常は相変わらずで…
「ご飯行こ…」
「「莉央!!」」
こんな感じで、お昼ご飯を一緒に食べることも、寮の夕飯を一緒に食べることもできていない。
いつも絶妙なタイミングで、双子の役員が莉央を迎えに来るんだ。
「ちょ、俺はっ…」
「ダメダメー。 莉央は僕達とお昼食べるんだから。」
「会長も呼んでるから!!」
「ぁ…」
あっという間に連れ去られてしまった莉央。
なんか、だんだん連れて行くためにかかる時間が短くなっていってる気がするんだよな……今日は、何か言う暇もなかった。
「はぁ…」
仕方ないか……今日も、佐助のところに行って食べよう…
「よ、佐助。」
「ワン!!」
昼休みは50分。 莉央といると短く感じるのに、ここ最近は一人でいるせいかひどく長く感じる。
まあ、佐助がいるからいいんだけどさ…
「こらこら。 これは俺の弁当だって。」
家がそんなに裕福じゃないのと、料理好きなのもあって俺は毎日自分で弁当を作ってるんだ。 莉央の分も作ってたんだけど、最近は生徒会長御一行に捕まることが多いので、作らなくなった。
「クーン…」
「……ったく、しょうがないなぁ。 ブロッコリーだけだぞ?」
佐助のおねだり攻撃に負け、二つ入っているブロッコリーのうち一つを佐助の前に差し出す。
おねだりが成功した佐助は、これ以上にないくらい尻尾を振りながら嬉しそうにブロッコリーをたいらげてしまった。
「ふぅ…ごちそうさま。」
弁当箱を片づけ、一息つこうと…
「うわっ!!?」
思ったんだけど、待ってましたとばかりに佐助が飛びついてきた。
「ちょ、佐助!! 待っ…」
よほど遊びたいらしく、俺の言葉を全く聞く気がない佐助。 容赦なく顔を舐めまわしてくる。
「わかった!! わかったから!!」
「ワン!! ワン!!」
まだまだ無邪気な佐助に、親気分の抜けない俺。
そして、その無邪気さに救われている部分が多々あったりする。
「あははっ!! だから、くすぐったいって!!」
「…………」
「!!」
急に、俺を舐めまわすのを止めた佐助。 近くの茂みに生えている木に向かって、鼻をクンクンさせている。
…かと思ったら、牙を出して唸り出した。