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BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~


なんてことを考えている間に、弁当を完食。
待ってましたとばかりに飛び付いてくる佐助にいつものように押し倒される。

「ちょっ‼ 佐助、待っ…」

生徒会長など眼中にないらしく、いつも通り全力の佐助。

「わかった‼ わかったから、ほら‼」

「‼」

ポケットに入れていたボールを取り出すと、ようやくおとなしくなった。
お座りして、目をキラキラ輝かせながら「早く投げて‼」と訴えている。

「よし、いくぞ?」

「ワンワン‼」

なるべく遠くに行くよう、全力でボールを投げると、そのボールを追って佐助も全力で駆けて行く。
ボールを拾った佐助は、すぐに俺のところに戻ってきた。

「よしよし。 いい子だな。」

ボールを受け取り、また投げてやると同じように追いかけて行く佐助。
ボールを拾ってくる姿は、無邪気で可愛い。

「よーし‼ お前はほんとにいい子だな‼」

「……可愛いな。」

「へっ?」

ボールを拾ってきた佐助をわしゃわしゃ撫でていたら、今まで静かに本を読んでいた生徒会長がそんなことを言ってきた。

驚いて振り返ると、生徒会長が昨日と同じように優しく微笑んでいて…

「……っ…」

俺はまた、どうすればいいのかわからなくなってしまった。

「あ、あのっ…」

「ん?」

とにかく、なんとかしなきゃ…と思って声をかけてみたものの、そこからどうするかは全く考えていなかった俺。

「えっと…」

「なんだ? どうした?」

「ぁ、その……」

困りはてて視線を落とすと、ボールをくわえて尻尾を振っている佐助が目に入った。

「ボ、ボール‼」

「は?」

「あの…」とか「えっと…」とか繰り返していて、急にちゃんと話したと思ったら単語を叫ばれたので、驚いたというか困惑した表情を浮かべる生徒会長。

「あ、えっと…その……ボール…投げてみますか…?」

「………」

佐助からボールを受け取り、生徒会長に差し出すと、生徒会長は少し戸惑いながら俺の手からボールを受け取った。

「……いいのか?」

「は、はい。 もちろんです。」

佐助はというと、誰でもいいから早くボールを投げてほしいらしく、足元で急かすように吠えている。

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