BL~中編・長編集2~
第15章 ~ほんとに好きなのは…?~
「生徒会長があんなことをしたのは…莉央のことが好きだからなんですよね?
人を好きになる気持ちは、俺にもわかりますから…」
人を好きになるって、厄介なことだと思う。 頭ではいけないことだってわかってても、気持ちがついていけなくて…間違いを起こしてしまうことだってたくさんある。
その気持ちは、俺にもわかるから…だから…
「…………」
「…?」
俺の言葉を黙って聞いていた生徒会長は、その後も少しの間無言で……恐る恐る顔を上げると、生徒会長は怒っているどころか、優しく微笑んでいたんだ。
「ありがとう。 それから……悪かったな。」
「ぇ……」
生徒会長の感謝と謝罪の言葉に、何を言われたのか理解できず、ポカーンとなる俺。
だって、この人が謝罪の言葉を口にしているのなんて、初めて見たんだ。 生徒会長だから、みんなの前で話したりすることはあるけど、そういう時はあらかじめ用意された台本しか読まないし、そういうのってどれも同じような内容だろ?
それに、生徒会長がみんなの前に出てわざわざ謝罪するなんてことはなく、建前だけの感謝の言葉や祝辞を述べているのしか見たことがない。
そのうえ、生徒会長は基本的に俺様(俺の勝手なイメージだけど…)だから、絶対に謝罪の言葉なんて口にしないと思ってた。
「どうした?」
「……ぁっ…いや…」
生徒会長に声をかけられ、ようやく我に返った。
なんか……生徒会長って、俺が思ってたのと全然違う……?
「ワン‼」
「お、いい子だな。」
いつの間にかボールを拾って戻ってきていた佐助。
ボールを受け取って佐助を撫でながら、時間を確認した生徒会長は、俺に視線を移した。
「あと五分で昼休み終わるな。 そろそろ教室に戻った方がいい。」
「えっ!? もうそんな時間!?」
俺が驚くのと同時に、昼休み終了五分前を告げるチャイムが中庭に鳴り響いた。
「次、教室移動の授業なのに‼ 佐助、また後でな‼」
「失礼します‼」って生徒会長に頭を下げて、弁当箱掴んで教室までダッシュ。
そんな慌ただしい俺を見て、生徒会長が微笑んでいたことなんて、俺は全く知るよしもなかった。