BL~中編・長編集2~
第15章 ~ほんとに好きなのは…?~
「ただ、お昼食べないで体は大丈夫なのかなって心配してるだけですよ。」
連日お昼食べていないわけで…生徒会の仕事もしてて忙しいだろうから、栄養が足りてるのか心配していただけなのに。
「………お前こそ、学食に行かないで弁当なのか?」
少しの間沈黙していた生徒会長は、俺の質問には答えずに、逆に俺に質問してきた。
「俺は、うちがそんなに裕福じゃないから、みんなみたいに毎日学食に行くわけにはいかないんですよ。 それに、料理するの好きだし。 俺、こう見えて結構料理上手いんですよ?」
俺の言葉を聞いた生徒会長は、視線を俺が広げている弁当に移した。
「………」
じーっと弁当を凝視している生徒会長。
あ、もしかして…
「食べてみます?」
「………いいのか?」
すこーしだけ嬉しそうにしている生徒会長に、また笑いがこみ上げてきたが、我慢我慢。
この人、こんな子供みたいな表情するんだな…
「いいですよ。 生徒会長の口に合うかはわかりませんが。 何を食べたいですか?」
「………卵焼き。」
他にも、余り物の煮物とかウインナーとかもあったのに、生徒会長が選んだのは卵焼き。
意外なチョイスに驚きつつも、可愛いところもあるんだなって思いながら、卵焼きを半分に切ってあげると…
「えっ? 生徒会長?」
生徒会長が、箸を持っている俺の右手を掴んで、卵焼きをパクって食べたんだ。
まるで、俺が生徒会長に「あーん」したみたいな…
「……っ…‼︎」
「美味いな。」
生徒会長の整った顔がいきなり目の前にきて、俺の心臓が「ドキッ」と脈を打った。
「………っ…」
「お前が作る卵焼きは甘いんだな。」
び、びっくりしたーーーー‼︎ 心臓止まるかと思った…
心臓バクバクの俺と違って、いつもと変わらない様子の生徒会長。
「は、はい…お母さんが作ってくれたのが、甘い卵焼きだったので…俺も甘い方が好きになりまして…」
「そうか。 俺も甘い方が好きだから、この卵焼き好きだな。」
こ、この人、自分がすごいイケメンな自覚あるのか!?
こんなことされたら、みんなこの人に惚れちゃうじゃん‼
「……………」
まあ、俺はそんなことないけど。 この人が、莉央のこと好きなの知ってるし。
なんでか、ちょっと寂しい気持ちになった俺。