テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~


「ん。 美味いな。」

薄っすらと優しい笑顔を浮かべた生徒会長の口から出てきたのは、俺が予想していたのとは正反対の感想。

「……よかった…」

その言葉を聞いて、体の力が一気に抜けてしまった。
それだけ緊張してたってことなんだろうけど。

「ん?」

安堵の言葉を漏らした俺に、首を傾げた生徒会長。
俺は隣で尻尾を振っている佐助に野菜をあげながら、さっきまで不安だった事を正直に伝える事にした。

「俺が作ってきた弁当が、生徒会長の口に合うのかずっと不安だったんです。 お口に合ったようでよかったです。」

緊張が解けたら、急にお腹が空いてきたな。 俺も、自分の弁当食べよう。

広げたままの自分の弁当に、ようやく箸をつける。

「「………」」

俺も生徒会長も、弁当を食べている間は無言。 それは、俺だけが弁当を食べていた昨日までと何も変わらない。

「ごちそうさま。」

「お粗末様でした。」

綺麗に空になった弁当箱を生徒会長から受け取り、何となく空を見上げる。

「…最近、天気いいですね。」

「あぁ…」

何の気なしに見上げた空は、雲一つない快晴で…
そういえば、生徒会長と昼休みを過ごすようになってから、一度も天気が崩れていないな…

「……お前の作る料理は美味いな。」

「へっ?」

なんて事を考えていたら、生徒会長の口から思わぬ言葉が。
俺の口からは、間抜けな声が出た。

「俺が言うんだから間違いない。 お前はもっと自信を持て。」

「……ははっ。」

その時、俺は気づいてしまったんだ。
俺様で、冷徹で、いつも無愛想なこの人は…生徒会長は、笑顔が綺麗で、本当は優しい人なんだって。

「わかったら、明日からも俺に弁当作ってこい。」

「…ふふふ。 はい。」

だから、俺は…素直に、生徒会長の言葉に頷いたんだ——……





ストーリーメニュー

TOPTOPへ