BL~中編・長編集2~
第15章 ~ほんとに好きなのは…?~
「せ、生徒会ちょ……」
おそるおそる目を開けると、頬をむぎゅっと潰され、変な顔にさせられた。
それを見て、面白そうに笑う生徒会長。
「にゃにひゅるんでひゅか。」
「お仕置き。 俺のこと『生徒会長』って呼んだら、そのたびにお仕置きするから。」
お、お仕置きって………今のがお仕置きかよ‼
「じゃあ、また明日な。」
俺から手を離した生徒会長は、空になった弁当箱を丁寧に布で包むと、俺に渡して校舎に向かって歩いて行ってしまった。
「透……先輩…」
なんて、呼べるかぁぁぁぁ‼ 恥ずかしくて死ぬわ‼
「……~っ……あーっ、もう‼」
明日から、どんな顔して生徒会長に会えばいいんだよ………
「たーいちっ‼」
「‼ 莉央…」
次の日。
授業の合間の休憩時間に、ぼーっと窓の外を眺めていたら、莉央が後ろから抱きついてきた。
「どうした? 今日、元気ないよな?」
「いや、別に………」
思ったより素っ気なくなってしまった俺の態度に、莉央は不満そうな声を出した。
「なんだよー。 久しぶりに大智としゃべれる休憩時間なのに、冷たくない?」
「……久しぶり…?」
莉央の言葉に、驚きを隠せなかった。
そういえば、莉央は休憩時間の度に生徒会御一行に捕まっていたから、最近は自室でしか話していなかったかもしれない。
俺、どうして…少し前まで、寂しくて仕方なかったのに……
「なんか悩みでもあんの?」
「んー…」
悩みねぇ……あるっちゃあるけど………
『透って呼べ。』
「……っ…」
ヤバい。 考えないようにしてたのに、昨日のことがフラッシュバックした。
「大智、大丈夫か? 顔真っ赤だけど…」
「っ……ごめん、大丈夫。」
「ふーん……」と、全く納得していない様子の莉央。
いや、さすがに話せないって。 莉央のこと狙ってる生徒会長とお昼ご飯食べてることも、名前で呼ぶことを強制されていることも。
「あ、そうだ‼ 今日さ、一緒にお昼ご飯食べよ……」
「「莉央ーー‼」」
いつものように、莉央の言葉を遮って莉央を呼ぶ声。
声の主は、生徒会役員の双子。
こいつら、いつもすごい絶妙なタイミングで来るよな……
「生徒会長がご立腹だよー。」
「莉央が呼び出したのに、待たせてるから‼」
え? 莉央が生徒会長を…?