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BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~


「はぁ…………」

昼休み。
持って行く必要があるのかわからない弁当箱を見ては、ため息をつく。

「………」

あの後…昼休みになっても、莉央は戻って来なかった。
大方、生徒会長と上手くいって、そのまま……

「ねぇ。」

「‼」

肩を叩かれ、振り返る。
俺を呼び止めたのは、できれば二度と関わりたくない人物だった。

「お前…っ!?」

次の瞬間、お腹に鋭い痛みが走った。

「ぅ゛っ…」

同時に激しい吐き気に襲われ、地面に膝をついてうずくまる。

「一体、どういうつもりなの? 生徒会の方々と関わるのをやめるどころか、花京院様に近づくなんて。」

「ッ……っ…‼」

主犯と思われる奴がペラペラしゃべってる間も、俺を痛めつける手は止まらない。

こいつら…今回は、何人がかりで来てるんだよ。 前に佐助が乱入してきて、最後までやれなかったからか?

「花京院様に気に入られてるなんて、勘違いしないでよね。 君みたいな貧乏人が物珍しかっただけなんだから。
今日のこれだって、あの方の命令だし。」

「…!?」

今………なんて言った?
命令? 生徒会長の……?

「もうね、君には飽きたんだってさ。 だから、図々しくお弁当を作って来ることも、今日で終わり。」

じゃあ、あの時見せてくれた笑顔も、俺の作った弁当を美味しいって言ってくれたことも、全部……

「あの方のお口には、こんな貧乏人が作ったお弁当なんか合わないからね。」

嘘だったのか。 あの時間を楽しいと思ってたのも、俺だけだったのか。

「…くっ……ッ…」

悔しいのか、悲しいのか怒りなのかわからない感情が込み上げてきて、俺の目からは涙が溢れた。

「あらら~。 泣いちゃった? でも、気づかない君が馬鹿なんだよ?」

俺が泣き出したのを見て、楽しそうに笑うファンクラブの奴ら。

「わかったら、もう二度と花京院様には……」

「なにをしている。」

「「‼?」」

主犯と思われる奴の声を遮って響いた冷たく低い声。
それは、とても聞き覚えがある声だった。

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