テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~

「か、花京院様っ…」

「どうしてここに…」

ゆっくり顔を上げると、固まっているファンクラブの奴らと、その視線の先に生徒会長の姿が見えた。
視界が涙でぼやけてはっきりとは見えないが、そこには、確かに生徒会長の姿が。

「生徒……会長…どうして…ッ………」

いいようにリンチされてる俺を見て、笑いに来たのか。
今回は、こいつらがしくじらないように。

「なにをしているのか聞いてるだろ。 さっさと答えろ。」

いつもより、低くて冷たい生徒会長の声。
顔が見えなくても、怒っているのが容易にわかる。
そして、そんな生徒会長に震えるファンクラブの奴ら。

「ぁっ、そ、その……」

さっきまでの威勢の良さはどこに行ったんだよ。

何も言わないファンクラブの奴らに、生徒会長はイライラしているようだ。
「チッ」と舌打ちする音が聞こえた。

「こいつには手を出すなと言わなかったか?」

え………? 今、なんて………

「俺の命令を無視してこんなことするなんて、いい度胸してるな?」

「も、申し訳ありませ……っ‼」

ぶるぶる震えている主犯と思われる奴の胸ぐらを掴み上げた生徒会長。

こ、怖っ…‼ 生徒会長、本気で怒ってるんじゃないか!?

「俺は謝罪しろと言ってるんじゃない。 こいつには手を出すなと命令したのに、なぜ無視してこんなことをしたのか聞いてるんだ。」

「そ、それはっ…」

どういうことなんだ? さっき、ファンクラブの奴らは生徒会長の命令だって言ってたよな? だけど、生徒会長は命令を無視したって言ってるし………

「覚悟はできてるんだろうな?」

「「ひっ……‼」」

それって、つまり………こいつらが嘘ついたってこと…?

「「も、申し訳ありません‼‼」」

「!?」

今まで震えていただけの奴らが、一斉に生徒会長に向かって土下座して謝罪した。
己がどんな立場に置かれているのか。 これから、どんな処分が下るのか理解し、一気に恐ろしくなったのだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ