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BL~中編・長編集2~

第15章 ~ほんとに好きなのは…?~

「ど、どうかお許しを…ッ…」

「もう二度と致しませんからっ…‼」

「…………」

土下座して、必死に許しを乞うファンクラブの奴らを見て、改めて生徒会長の恐ろしさを思い知った。

こんな恐れられてる人を可愛いと思うなんて、俺ってやっぱり……どうかしてるよなぁ…

「がはっ‼ はっ…ッ…」

土下座され、生徒会長は主犯と思われる奴から手を放した。
苦しそうにむせる奴を冷たく睨みつける生徒会長。

「さっさと失せろ。 処分は覚悟しておけ。」

「「し、失礼しますっ‼」」

主犯と思われる奴のことなんて気にもしないで、一目散に逃げ出すファンクラブの奴ら。
置いて行かれた主犯と思われる奴も、ふらふらと立ち上がるとあいつらの後を追いかけて行った。

「……大丈夫か?」

「あ……はい…」

いつもと同じ優しい声。
さっき、ファンクラブの奴を締め上げていた人と同一人物とは思えない。

「生徒会長…どうしてここが……」

「それは…」

「ワン‼」

生徒会長の言葉を遮って聞き慣れた鳴き声がしたので、そちらを見ると…

「佐助!?」

佐助が尻尾を振りながら、俺に向かって突進してきた。

「うわっ‼」

尻尾を振り回しながら、俺の顔を舐め回す佐助。

「昼休みになってもお前が来ないから不思議に思ってたら、こいつが校舎に向かって走り出して……嫌な予感がしたから追いかけて来たら、お前がファンクラブの連中にリンチされてたんだよ。」

「……そうだったんですか…」

また…佐助に助けられたな。

「ありがとな、佐助。」

「ワン‼」

「生徒会長も、ありがとうございま……」

助けてくれた生徒会長にお礼を言おうと思ったんだけど、感謝の言葉は最後まで言えなかった。

「!?」

生徒会長の方を向いたら、綺麗な顔が目の前にあったから。

ちょ、近っ……!?

「お前、泣いたのか?」

「へっ?」

顔を両手でがっちりホールドされ、逃げられない俺。

泣いたって……さっきの…

「どうして泣いたんだ? あいつらに、何か言われたのか?」

「え、あ、いや……」

い、言えない……生徒会長のことを、一瞬でも疑ってしまっただなんて…

「その………」

「…………」

ごまかす方法も思いつかなくて、俺は黙りこんでしまった。
何も言わないままでは、生徒会長を困らせてしまうだけなのに。

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