テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

「あいつ、記念日とか興味なさそうだもんな。」

「…うん……なんか、誘って断られたらショックだし…」

山本は、この学校では俺達の関係を知っている唯一の友達だから。 相談事は全部山本にしている。
申し訳ないと思いつつ、不安な気持ちを拭いきれない俺は、こうして山本に毎日のように相談をしてしまっているのが現実。

「でもさ、あいつお前のこと大好きだし。 お前が記念日お祝いしたいって言ったら、なんだかんだで「いいよ」って言ってくれると思うぞ?」

「……そうか…?」

俺のこと大好きって…そんなこと、本人に言われたことないんだけど。
だから、記念日のデートに誘うのにもこんなに躊躇してるわけで…

「うん。 あいつがお前にぞっこんなのは、見てればわかる。」

「………」

それはそれで恥ずかしい。 これから、山本の前でどんな風にすればいいんだ。
だけど……本当に、あいつは俺のこと好きなのだろうか。

だって…今まで一回も「好きだ」って言ってもらったことない…

「今更恥ずかしがるなし。 俺はもう慣れっこだからあんま気にしてないからさ。」

「ほんと、お前は俺の考えてることすぐわかるよな。」

こいつだから、俺とあいつが付き合ってることもすぐにバレてしまった。
さすがに驚いたよ。 だって、付き合い始めて次の日にバレたんだから。

「まあな。 それに、お前もあいつも結構顔に出るからな。」

マジか。 それは自覚なかった。 気を付けないと。

「とにかく、誘うだけ誘ってみろよ。」

「…うん。 頑張るわ。」

山本の言葉に、ポケットに入っているチケットを確認し、昼休みに話そうと決意した。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ