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BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

で、問題の昼休み。
いつものように、あいつと二人で空き教室で昼ご飯を食べる。

「ごちそうさまでした。」

「ごちそうさま。」

昼ご飯も食べ終わり、少しの沈黙が訪れる。
いつもなら、こいつとの沈黙は気まずくなく、心地良いとすら感じるのに…今日はすごく気まずい。
まあ、俺が勝手に緊張してるからなんだけど…

よし…言うぞ…

「な、なあ、黒…」

「そういえばさぁ…」

黒川に声をかけようと口を開いた瞬間、同じタイミングであいつが話を切り出してきた。
予想外の事態に、俺は反射的に口をつぐんでしまった。

「明日で、俺ら付き合って一年になるじゃん?」

「う、うん…」

まさか、記念日を覚えていてくれたなんて…
そういうことに絶対興味ないと思っていたから、俺は内心嬉しくて、胸が躍った。

もしかして、デートに誘ってくれたり…

「でもさ、俺ら三ヶ月とか半年の記念日も祝ってこなかったし、一年の記念日も祝わなくていいよな?
その日、部活のマネージャーの誕生日でさ。 みんなでお祝いしようって話になってて。」

「ぇ……」

だけど、俺の期待は簡単に裏切られた。 嬉しいって思えたのはほんの一瞬だけで、あいつの話を聞いて俺はどん底に落とされた。

心がずしんと重くなって、体温がどんどん下がっていく。
返事をしなきゃいけないのに、声が出ない。

「あ…そ、そうなんだ……っ…いや、俺もさっ…明日は山本と映画観に行くことになってて…」

必死に声を絞り出し、なんとかあいつに返事を返す。
ポケットに入れていたチケットをぐしゃっと握り絞め、泣きそうになっているのを見られないように、弁当箱を持って立ち上がる。

「そういえば俺、次の授業の課題やってないんだった。 先に教室戻るわ。」

それだけ告げて、あいつの返事も聞かずに空き教室を飛び出した。

よかった…俺から誘う前に言ってくれて……誘ってから断られてたら、もっとダメージ大きかっただろうし。

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