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BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

「……っ…」

お前は、俺と付き合い始めてからのこの一年のことを振り返ったりしないの? 俺はただ、「ありがとう」と「これからもよろしくね」をちゃんと伝えたかったんだ。 
お前にとっては、俺との記念日よりも部活のマネージャーの誕生日の方が大切なわけ?

なんか、それって……

「うっ…ッ……くそっ…」

すごく悲しいし、寂しい。

お前は、本当に俺のこと好きなの? 本当はもう、俺には飽きてる?

「っ………ばかッ…」











~山本SIDE~
「今日もいい天気だな~。」

機嫌よく鼻歌を歌いながら、目的の電気屋を目指して駅の改札を出る。
今日は、前から楽しみにしていたゲームの発売日だ。 早く予約しておいたソフトを受け取って、家で存分に楽しみたい。

昨日…昼休み終わった後、選択授業の関係で柏木に会ってないけど……夜に上手くいったって連絡来たし、今頃は柏木もあいつとのデートを楽しんでるだろ。

「よっしゃ。 ソフト受け取ったし、さっさと帰って堪能しよっと。」

ルンルン気分で電気屋を出て、帰路につこうとした時だった。

「え…」

ありえない光景を目にしたのは。

なんで…? どうして、あいつ…

「わぁ~‼ やっぱり、黒川先輩ってカッコいいですね‼」

「おう。 サンキュー。」

なんでサッカー部の連中と一緒にいるんだよ。 後輩マネージャーに腕に抱きつかせるの許しちゃってさ。
しかも、あの子ってあいつのこと狙ってるって噂が立ってた子だよな?

「もうさ、黒川と由佳付き合っちゃえよ‼」

「そうそう。 二人お似合いだしさ。」

「お、お二人とも何言ってるんですか‼」

他の部員が、そう言って二人をからかっているのが聞こえてくる。
後輩マネージャーも、満更ではない様子。

いや、いくら柏木と付き合ってるのを隠すためとはいえ、腕に抱きつくの許すのかよ?
っていうか、今日は柏木とデートするんじゃなかったのか?

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