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BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

「せ、先輩…こんな人放っておいて、もう行きま…」

「好きだよ。  大好きに決まってるだろ。」

「………そうか。」

後輩マネージャーの言葉を遮り、あいつははっきりとそう答えた。
あいつがそんなこと言う相手がいたのかと、驚きを隠せないサッカー部の連中。 腕に抱きついていた後輩マネージャーは、失恋が確定して今にも泣きそうだ。

「じゃあさ……大好きなあいつがお前を選んでくれた一年前の今日という日は、お前にとって何?」

「…………」

断言してくれた安心した。 もう答えはわかっているけど、これが最後の質問だ。

「なあ…お前にとってさ、後輩マネージャーの誕生日を祝うのと、大好きなあいつとの記念日を祝うの……どっちが大切なんだ?」

「…………」

あいつの答えを聞く前に、俺は手を放した。 もう、掴んでおく必要はないから。
あいつの答えはもう決まっている。 後は、背中を押してやればいい。

「あーあ。 あいつ、今頃なにしてるだろうな? もしかしたら…家で一人で泣いてるかもな。」

「……っ…!!」

「あっ…!! 先輩!!!!!」

俺の言葉を聞いて、あいつは後輩マネージャーの制止を振り切って走り出した。
その背中を見て、深いため息をつく。

「はぁ……まったく、手のかかるカップルだな…」

今度、柏木になんか奢ってもらおう。
なんてことを考えながら、展開についていけずにポカーンとしているサッカー部の連中を放置して、今度こそ帰路についた。



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