テキストサイズ

BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

~柏木SIDE~

今…何時くらいだ…?

「う~……」

うっ…頭痛い……すごいガンガンする…
瞼も重いし…昨日、家に帰ってからずっと泣いてたからか…

「はぁ…」

とりあえず、顔を洗いに行こう…

そう思って、部屋を出て階段を降り、洗面所に向かう。
幸いなことに、家には俺以外誰もいない様子。 家族はみんな出掛けたようだ。

いいなぁ…みんな休日を満喫してて……俺もあいつと…

「出掛けたかったなぁ…」

って、俺はあほか。 元々、記念日一緒に祝えると思ってなかったし。
あいつがそういうのに興味がないのは、この一年で十分理解したし。

「っ……」

だんだんと視界が歪んでいく。 目尻に溜まった涙が、今にも溢れそうになるのが自分でわかる。

「…ッ…くそっ…」

俺のバカ。 こうやってそういうこと考えるから、一晩中泣く羽目になるんだ。
いい加減学べよ。

ごしごしと目を擦り、涙が溢れるのを防ぐ。

さっさと洗って、部屋に戻ろう。 いつだれが帰ってくるかわからないし。

「うわ……酷い顔…」

目は充血して腫れているし、頰には涙の跡が残っている。
今までで一番不細工な顔。
家族が全員出掛けていて助かった。 こんな顔見られたら、なにがあったのか説明をさせられるに決まってる。

「こんな顔見せたら、嫌われるだろうな…」

幸い、明日は日曜日だ。 ちゃんと冷やしておけば、明後日の学校までには腫れも引くだろう。

顔を洗うついでに冷やしタオルでも作って部屋に持って行こう。
一晩中泣いてたせいで眠いし、冷やしながら寝れば多少はマシになるだろ。

「ふぅ…」

冷たい水で顔を洗うと、心なしか少しだけスッキリしたような気がした。

よし、大丈夫……もう十分泣いた。 涙ももう枯れただろ。

冷やしタオルを作って、洗面所を出る。
自分の部屋に入って倒れこむようにベッドに横になると、急に睡魔が襲ってきた。

「………黒川…」

夢の中だけでも…お前に会えたらいいな……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ