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BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

「ま、そんなわけないか。 お前、そんなに器用なことできないもんな。」

「っ……おまッ…‼」

俺のこと上げたり下げたりして、どんだけ振り回すんだよ‼

って、文句言おうと思ったんだけど…

「はい、もう無理。」

「んっ‼」

またキスで文句を言おうとした口を塞がれてしまった。
さっきまでの優しいキスと違って、貪るような…喰われるんじゃないかって思うくらいの激しいキス。

「んんぅ…ッ…ちょ…っと……ン…待っ…」

「無理。」

抵抗してあいつの胸を必死に押すんだけど、キスが激しすぎてそれどころじゃないし、あいつの力には敵うはずがなくて…

「は、ぁ…っ…んッ……んんっ!?」

俺の抵抗する力が弱くなったのを見計らって、あいつは俺の下半身に手を伸ばしてきた。

「黒かっ……」

「今日は手加減できそうにないから。」

驚いて名前を呼ぼうとすれば、目の前のあいつは限界ギリギリで我慢してる表情を浮かべていて…

「ッ…」

そんな表情を見たのは初めてで、何も言えなくなってしまった。

「覚悟して。」

「ぁっ‼ バカ……ッ‼」

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「おはよーっす。」

「はよー。」

いつもと同じ気の抜けた挨拶に本から視線を上げれば、ひらひらと手を振っている山本の姿が。

「一昨日は大丈夫だったか?」

「あー…うん。 なんか、面倒かけたみたいでごめん…」

素直に山本に謝れば、山本はまたいつもと同じようにへらへらと笑った。

「気にすんなって。 でもさー…お前、俺に心配かけさせないために嘘つくなよなー。」

「……ごめん。」

頭を下げた俺を見て、山本は俺の頭を小突いてきた。

「痛い。」と言って顔を上げれば、山本は全く怒っている様子はなくて。
いつもと同じ笑顔を浮かべているだけだった。

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