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BL~中編・長編集2~

第16章 ~大切なのは…~

「山本‼ どういうこと!?」

「お前、黒川に恋人いること知ってたのか!?」

「いや~…なんのことだかさっぱり。」

クラスの連中の質問に、分かりやすい嘘をつく山本。
そんな答えにクラスの連中が納得するはずもなく、質問は続く。

「黒川君に恋人いるってほんとなの!?」

「なんで今まで秘密にしてたの!?」

なーんて、女子まで山本を質問攻めにする始末。

あいつ、サッカー部のエースだからな。 あれでも。 あいつのファンはそれなりにいるわけで。
ま、それなりに顔も整ってるしなぁ…

と、他人事のように山本を見ていると、話題の中心人物が…

「なー、柏…」

隣のクラスのあいつが、俺のクラスに入ってきた。

その声に反応した連中が、我先にとあいつの周りに集まっていく。

「黒川‼ お前、恋人いるってほんとかよ!?」

「どういうことなの!?」

そして、山本と同じように質問攻めにあうあいつ。
山本はというと、思わぬあいつの登場のおかげで質問攻めから解放され、安堵した表情を見せている。

「どういうことって……別に。 そのままの意味だけど。」

「ほんとに恋人いるのかよ!⁉」

「いるけど。」

クラスの連中の質問に、恥ずかし気もなく淡々と答えていくあいつ。

まぁ、相手が俺ってバレたわけじゃないし。 そんなに焦る必要もないか。

「相手は!? 誰!?」

あー…やっぱり、そこ気になるよなぁ……あいつ、なんて答えるんだろ。

そう思ってそちらに目を向ければ、クラスの連中に囲まれているあいつと目が合った。
そして、ニヤリと怪しく笑ったあいつ。

「?」

なんだろ。 あいつのあの表情、なんか嫌な予感が…

「誰だっていいだろ。 とにかく、俺はそいつのことが一番好きで一番大切なんだよ。」

「っ‼!?」

「「おおー‼‼」」

「「ええ!⁉」」

あいつのその言葉に男子は歓声を上げ、女子は悲鳴に近い驚きの声を上げた。
俺はというと…

「っ……」

「あらあら。 耳まで真っ赤にしちゃって…」

あまりの恥ずかしさに、机に顔を伏せてしまっていた。
そんな俺を見て、山本は何故かおねぇ口調でからかってくる。

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