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BL~中編・長編集2~

第17章 ~一番好きな人~

『西中の三宅だろ?』

先輩は何故か僕のことを知っていて…そのことに驚いて固まっている僕を見て、先輩はきれいに笑ったんだ。

『一緒にテニスやろうぜ。』

って。
たぶんその時かな…僕が、先輩を好きになったのは。

先輩に誘われたのもあって、僕はテニス部に入部。 友達も一緒に入った。 そして、僕と先輩はあっという間に仲良くなったんだ。 先輩は僕を可愛がってくれたし、僕も先輩が大好きだった。 僕の「好き」は、先輩が僕に向けてくれていたものとは違ったけど、先輩が僕を可愛がってくれたのが純粋に嬉しかった。
だから、自分の気持ちを伝えようなんて思わなかった。 それに…

『美紀!!』

先輩には、彼女がいたんだ。 彼女さんは学校一の美人として有名な人で、学校で一番の人気を誇る先輩とはお似合いのカップルだった。 先輩は彼女さんのことをとても大切にしていて、僕はいつも二人の惚気話を聞かされてたんだ。
先輩が彼女さんの話をしている時は、本当に幸せそうだったし、先輩の幸せそうな顔が僕は大好きだった。
僕が知る限りでは、二人は喧嘩したことなかったし、仲の良いラブラブなカップルだった。

『遥先輩!!』

『おう。 朝陽か。』

当時は…先輩のこと名前で呼んでたし、先輩も僕のことを名前で呼んでくれてたんだ。
先輩の卒業式……最後の最後で、僕は先輩に会うことができた。

『俺がいなくなっても、しっかりやれよ。』

『……はい。 先輩も、美紀先輩とお幸せに。』

先輩と彼女さんは、進学する大学が違ったんだ。 だけど、僕は二人なら絶対上手くいくだろうって信じてた。
だって、二人の仲の良さは、僕が一番理解してるつもりだったから。

『ありがとな。 じゃ。』

優しくて、いつも明るくて、彼女さん一途で、大好きな先輩。 そんな先輩が変わってしまうなんて、僕は想像もしてなかったんだ。

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