BL~中編・長編集2~
第17章 ~一番好きな人~
「あいつだよ。 テニスサークルの…」
「ああ!! あの人ですか!!」
あいつっていうのは、僕によく声をかけてくるテニスサークルの人のことだったみたい。
その人はね、すごく整った顔をしていて、テニスサークルの部長さんなんだ。 笑顔がとっても綺麗で、それはそれは絶大な人気を誇ってるわけ。
で、どういうわけなのかよく僕に声をかけてくる。
「遊びに行こう。」とか「飲みに行こう。」とか「僕の家に遊びにおいでよ。」とか。
僕が中高でテニスやってたって知ってるから勧誘してるのかなー…とか思って、僕はいつも適当にかわしてるんだけどね。
「なんて声かけられたんだよ…?」
「え…っと…『今日、授業終わったら遊びに行かない?』って誘われました。」
って先輩の質問に答えたら、僕の答えを聞いた瞬間、先輩の機嫌が悪くなったのがわかった。
ぼ、僕、なにかまずいこと言っちゃったかなぁ……
「あの……辻元先輩……?」
「あいつの誘いには、絶対乗るなよ。 なにかあってからじゃ遅いんだからな。」
「え?」
そっぽを向いて、機嫌が悪いままの先輩の口から出たのは、僕を心配する言葉。
「わかったか?」
「ぁ…は、はい。」
相変わらず先輩の機嫌は悪かったけど、僕の心配をしてくれたことが素直に嬉しかった。
「なぁ…お前ってさ……なんで俺なんかのこと好きなの?」
「へっ?」
なんて浮かれていたら、先輩の口から予想外の言葉が出てきた。
なんで……って…どうしてそんなこと……
「…先輩の笑顔が……綺麗だったから…」
「俺の笑顔…?」
だけど、そう聞いてきた先輩の表情は……とても悲しそうで。 自信がなさそうだった。
僕が大学に入ってきてから見た先輩の表情は、いつもこんな風に悲しそうで。 高校の頃と同じ笑顔は、もう見れないんだろうか。
「まだ高校で入る部活を決めてなくて、テニス部の見学帰りに先輩が声をかけてくれた時の笑顔が、本当に綺麗で。
それはきっかけに過ぎませんけど、先輩は僕にとても優しくしてくれて。 彼女さんのこともとても大切にしていたから、本当に優しい人なんだなって。」
「…………」
あんなに大切にしていた彼女さんに一方的に別れを告げられてしまったんだ。 先輩が「好き」という感情を信じられなくなっても仕方がない。
「ああ!! あの人ですか!!」
あいつっていうのは、僕によく声をかけてくるテニスサークルの人のことだったみたい。
その人はね、すごく整った顔をしていて、テニスサークルの部長さんなんだ。 笑顔がとっても綺麗で、それはそれは絶大な人気を誇ってるわけ。
で、どういうわけなのかよく僕に声をかけてくる。
「遊びに行こう。」とか「飲みに行こう。」とか「僕の家に遊びにおいでよ。」とか。
僕が中高でテニスやってたって知ってるから勧誘してるのかなー…とか思って、僕はいつも適当にかわしてるんだけどね。
「なんて声かけられたんだよ…?」
「え…っと…『今日、授業終わったら遊びに行かない?』って誘われました。」
って先輩の質問に答えたら、僕の答えを聞いた瞬間、先輩の機嫌が悪くなったのがわかった。
ぼ、僕、なにかまずいこと言っちゃったかなぁ……
「あの……辻元先輩……?」
「あいつの誘いには、絶対乗るなよ。 なにかあってからじゃ遅いんだからな。」
「え?」
そっぽを向いて、機嫌が悪いままの先輩の口から出たのは、僕を心配する言葉。
「わかったか?」
「ぁ…は、はい。」
相変わらず先輩の機嫌は悪かったけど、僕の心配をしてくれたことが素直に嬉しかった。
「なぁ…お前ってさ……なんで俺なんかのこと好きなの?」
「へっ?」
なんて浮かれていたら、先輩の口から予想外の言葉が出てきた。
なんで……って…どうしてそんなこと……
「…先輩の笑顔が……綺麗だったから…」
「俺の笑顔…?」
だけど、そう聞いてきた先輩の表情は……とても悲しそうで。 自信がなさそうだった。
僕が大学に入ってきてから見た先輩の表情は、いつもこんな風に悲しそうで。 高校の頃と同じ笑顔は、もう見れないんだろうか。
「まだ高校で入る部活を決めてなくて、テニス部の見学帰りに先輩が声をかけてくれた時の笑顔が、本当に綺麗で。
それはきっかけに過ぎませんけど、先輩は僕にとても優しくしてくれて。 彼女さんのこともとても大切にしていたから、本当に優しい人なんだなって。」
「…………」
あんなに大切にしていた彼女さんに一方的に別れを告げられてしまったんだ。 先輩が「好き」という感情を信じられなくなっても仕方がない。