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BL~中編・長編集2~

第3章 ~初恋は実らない~

このままではいつか死ぬ。

そう思った祖父母は、俺を母さんの姉・・・つまり、叔母の家に俺を預けることにした。
子供の出来なかった叔母夫婦は、喜んで俺を受け入れてくれた。

そして・・・織田の人間として出場した最後の試合。
もちろん、敦志もその大会に出ていた。

いつものように、この大会も敦志が優勝するだろうと思っていた。

しかし・・・・何の因果か、この大会で、俺の才能が開花してしまった。
優勝候補の敦志を差し置いて、俺は大会で優勝。

叔母夫婦も、父も、驚いていた。
でも、一番驚いたのは俺自身だった。

それからというもの・・・・叔母夫婦に引き取られてからもいろいろな大会に出場したが、全てで優勝。

敦志の記録も塗り替えた。

そして、俺が中学に上がろうとしていた時・・・父から連絡があった。

『家に戻って来い。』

生まれて初めて、父に認められた瞬間だった。

信じられなかった。 あれだけ、俺の存在を必要としていなかった人が、俺を認めてくれたから。

でも、俺は織田家には戻らなかった。
戻る気なんてなかった。

父の言葉に逆らい、俺は叔母夫婦の下で暮らし、中学に上がると同時に空手をやめた。

と言っても、こうやって時々敦志と手合わせをしている。
体が鈍ると嫌だから。

「今日こそ朔夜に勝つからな!!」

「やれるもんならやってみろ。」

こうして、いつもと同じ日常が始まった。

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