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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 小紅は苦笑いする。何しろ難波屋では膳の上げ下げまで女中がすべてやってくれる。父と暮らしていた頃は大店のお嬢さまとはいえ、自分のことはすべて自分でやっていた。ここでは何もしなくて良いのはありがたいが、身体を動かせないのは実は小紅にとっては苦痛になる。

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