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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 じっと置物のように座っているのは性に合わないのだ。が、何かしようとすると、お琴が泡を食って
―そんなことをお嬢さまにおさせしたら、私が旦那さまに叱られますから。
 と懇願する始末では、何もできない。
 なので、どうせ部屋に閉じこもって暇を持て余すくらいならと、お琴に頼んで布を持ってきて貰った。その中から気に入ったものを選び、今は少しずつ縫っている最中である。

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