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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第14章 第一部第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 熾火(おきび)

 その時、栄佐が初めて顔を上げた。
「俺は金が欲しい」
「お金―?」
 それは思いかけぬ言葉だった。束の間、二人の視線が交わる。栄佐の瞳は果てのない闇よりも暗かった。

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