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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第16章 【戀月桜~こいつきざくら~】決着~安政六年四月五日宗徳寺

 決着~安政六年(一八五九年)四月五日宗徳寺にて~

 ついにその日が来た。小紅はもちろん普段の着物姿で布団も敷かずに待機していた。深夜を回った頃、栄佐がいつものように出ていく気配がした。龍馬が夜闇に紛れるようにしてやって来たのはその四半刻ほど前になる。
 二人は息を詰めて隣の様子を窺っていたのだが、ひそやかな足音が遠ざかっていってから、顔を見合わせた。

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