テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第16章 【戀月桜~こいつきざくら~】決着~安政六年四月五日宗徳寺

「良かった、良かった、栄佐さん」
 小紅の瞳に熱いものが溢れた。
「泣くなよ。俺はお前をいつも泣かせてばかりだ。誰よりも幸せにする守ってやりたいと願うのに、俺が実際してることといやァ、お前を哀しませてばかりだからな。坂本どのにもしっかり釘を刺されたよ。お前を泣かせるようなことがあったら、土佐から攫いにくるとよ」
「坂本さまったら」
 小紅はいかにも龍馬らしい科白に笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ