テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

―小紅ちゃんのことは私が守る。
 その一言が何故かとても嬉しくて。小紅は胸に小さな灯りがともったような気がした。その小さな灯りは不思議なことに、父の出奔以来、小紅の中に降り積もり小さな心を凍らせていた哀しみを溶かし、ほんのりと温かくしてくれたのだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ