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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 だが、抱き合う二人を準平が樹の陰からそっと盗み見ていたことを武平も小紅も知らなかった。
「畜生、あいつは俺の女だ。親父に横から盗られて堪るものか」
 呟く準平の眼はどこまでも昏く、底なしの闇へと続いているかのようであった。

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