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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 数歩あるくと、白い小菊のひと群れの側にしゃがみ込んだ。
「お前たちはお利口さんね。こんな季節でも、まだまだ頑張って咲いているんだもの」
 だから、私も頑張らなきゃね。
 心の中で呟く。それは菊にというよりは、自分に言い聞かせる言葉であったかもしれない。今朝の出来事を思い出すと、また涙が溢れそうになる。

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