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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

「お名前は?」
「太吉(たきち)と申します」
 そこで、太吉の右目の回りに青黒いアザがあるのに気づく。
「そのアザはどうしたの?」
「その」
 言いにくいことなのか、もじもじしているので、小紅は優しく言った。
「誰にも言わないから、教えて」
 その一言で、太吉は面を上げた。意を決したように話し始める。

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