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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  

「そうですか」
 頷く小紅に同じ質問が返ってくる。
「あんたの名前は?」
「小紅といいます。仕立物の内職をしてます。輿平太さんと同じ、長屋暮らしです」
「仕立屋―なのか?」
 何故か物言いたげな表情になった輿平太に、小紅は頷いた。
「ええ、決まったお店(たな)からだけでなく、個人でもお仕事はやらせて頂いているので。良かったら、いつでもどうぞ。お安くさせて頂きます」

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