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「まあ、これからはせいぜい気を付けることだな」
　踵を返そうとする輿平太の背中に向かって小紅は叫んだ。
「輿平太さんとおっしゃいましたね。良かったら、お住まいを教えて頂けませんか？　また改めてお礼に伺います」
　輿平太がくるりと振り向いた。
「礼なんざ、言われるほどじゃねえって。俺は神田明神の近くに住んでる。錺職の輿平太って、その辺で聞いてくれたら判るよ。妹とお袋と長屋暮らしだから」