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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  

「輿平太、輿平太」
 栄佐は案の定、憶えがあるらしい様子で繰り返していた。ややあって、彼が右の拳を左手に打ちつけた。
「おお、そう言やア、俺のガキの頃の友達にそんな名前のヤツがいたな。だが、輿平太なんていう名前はさして珍しくもねえ。俺の知ってる輿平太っていえば、そのくらいだけど、お前を助けてくれたっていう男が俺の幼なじみっていう確率は低そうだぞ」
「そうね。そう都合良くいくわけはないものね」

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