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　第一、今も角倉家の当主として屋敷にいたならば、小紅とめぐり逢うことはなかった。ただ人の栄佐だからこそ、小紅と出逢い恋に落ちた。
　あの女の存在しない世の中は最早、考えられない。そう思えるほど惚れた女に出逢えたのは果報なことだ。たとえ、この身がこれから先、何になろうとも小紅を手放すつもりはない栄佐だった。