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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

「さようでございます。何でもこの難波屋の先代のご主人さまの姪御に当たられるとかで、先代の旦那さまがまだ若い身空で後家になったお内儀さんを不憫がってお引き取りになったといいます。私は十六でこちらにご奉公に上がりましたものですから、先代さまももちろん存じ上げておりますけど、二十歳で亭主に嫁ぎましてからは次々と子どもができて、しばらくはご奉公をお休みさせて頂いていたんです。

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