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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆

「俺は栄佐。これでもちったァ、名の知れた医者なんだぜ。見たところ、少し背中が屈み気味のようだが、とっつぁん、その歳でそれじゃ、もっと歳食ったら朝夕痛むようになるぜ、早いところ、俺が針を打って治してやらあな」
 少しからかいを含んだ口調で告げると、男は露骨にムッとした表情で返してきた。

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