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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆

 考えたくはないが、金に困って娘を売り飛ばすために江戸に舞い戻ったということも考えられなくはない。事は慎重を期する必要があった。
 それでなくても、小紅は三年前の仁助の出奔では辛い想いをさんざんしたのだ。今また、あの不出来な父親のせいで小紅を泣かせるつもりは栄佐にはさらさらない。

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