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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆

 ちゃんと聞いているのなら、今更繰り返さなくても良いだろうにと、小紅は紅くなりながら栄佐を恨めしげに見つめた。
「聞いてたんなら、それでもう良いでしょう」
「いや、よくねえ」
 栄佐は食べかけの芋を口に放り込み、小紅にグイと身を乗り出してくる。
「なあ、小紅、そろそろ良いんじゃねえか」
「良いって、な、何が」

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