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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿

 または当主不在を病気療養中と称してごまかすのもそろそろ限界に来たというところだろうか。時の老中の甥にして譜代の大身旗本の殿さまが失踪、行方知れずと知れれば、角倉氏は前代未聞の不祥事として公儀からきつい咎めを受けるだろう。お家断絶の可能性は高い。
 そうなる前に、源五以下、重臣たちが動き出すのは明白であった。

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