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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

「そうなの?」
 武平は頷いた。
「お前もいつか、一生涯を共に歩く伴侶とめぐり逢うだろう。そのときは縁の糸を大切にしなさい。人は誰でも、めぐり逢い、そうなるべくしてなった相手が運命の相手なんだ」
 だから、叔父さまは亡くなられた叔母さまを生涯大切にしたのね。
 小紅は漸く合点がいった。
「こんな話をするつもりじゃなかったのに」
 小紅は脇に置いていた包みを武平の前に差し出した。

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