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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿

 そのときだった。
 表の障子がカタンと音を立てた。思わずビクリと身を竦ませたのと、障子が音もなく開いたのはほぼ同時のことだった。
「―!」
 振り返った小紅は小さく息を呑んだ。
 小柄な初老の男が入り口に所在なげに佇んでいた。

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