テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿

「小紅」
 男が消え入るような声音で名を呼ぶ。小紅の記憶にある父よりは随分と印象が違っていた。小柄ではあっても、すっきりと背筋も伸びて大店の主人としての存在感を示していたはずの父は見る影もなくなっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ