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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 どうしようもないくらいに好き。小紅の眼に涙が滲んだ。
「だけど、叔父さまは違うってことくらいも判るのよ。叔父さまは縁の糸を大切にしたいと言ったわ。だから、亡くなった叔母さまをを今も愛しているのでしょ」
「小紅ちゃん、縁の糸の相手と添い遂げるのと、誰か別の女を想うのはまた別の話だ」
 武平はまたしても思いも掛けぬことを言った。

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