テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

 仁助は見かけによらず力が強かった。栄佐は何とか押しとどめようとしたが、なかなか仁助は言うことをきかない。この分では手を放した隙に、川へ飛び込むのは必定だ。
 やむを得ないと、栄佐は覚悟を決めて仁助の頬を軽く打った。パンと乾いた音が十一月の乾いた空気に鳴る。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ