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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

 打たれた仁助は茫然として頬を押さえ、栄佐を見ている。
「申し訳ない。仮にも未来のおとっつぁんを殴るなんざ、婿としては失格だ」
 栄佐は頭を下げた。仁助はハッとした表情になったが、その細い眼からは、はらはらと涙が散った。
「やはり、そうですか。あなたのようなお人が娘の側に居て下さるのならと、死ぬ覚悟もできましたが、あなたは娘の」

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