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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

「失礼ですが、一緒に逃げた女とは別れたのですか?」
 仁助は当然だと言わんばかりに頷いた。
「ええ、金の切れ目が縁の切れ目ってヤツですな。私にいよいよ有り金はこれっぽっちも残ってないと知って、あっさりと袖にされちまいました」
「岡場所の女で?」
「ええ。あんたも気を付けた方が良い。女は怖い、まさに魔物だ。可愛い顔をして縋りついてくる裏で、何を企んでいるか知れたものじゃない」

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