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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 武平が穏やかに笑った。
「私自身もお前と同じだよ。たった今、いや、正確にいえば、お前をこの家に引き取った時に気づいた。お前はいつからか私にとって、かけがえのないただ一人の女になっていたんだ」
 武平はもう一度、ゆっくりと繰り返した。
「私も小紅ちゃんを好きだよ」
 武平はわずかに眼を逸らした。

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