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　その一刻あまり後のこと、栄佐は腕組みをして、ほとほほと弱り切っていた。ひと度女形に変化すれば、江戸中の老いも若きも女という女の視線を釘付けにするという艶麗な美貌は男姿の普段も道行く女が振り返るほどの美男である。
　今、その美しい顔にはあからさまな困惑が浮かんでいた。