テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

 栄佐を中心にそれぞれ左右に小紅と仁助が座り込んで車座になっている。真ん中には小紅が用意した小魚の甘露煮やきんぴらが小さな器に品よく盛られていた。傍らには銚子が数本、と盃が三つ。言わずと知れた三人が使っている盃である。
 栄佐が苦い薬を無理に飲まされたような顔で座り込んでいると、傍らの小紅が叫んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ