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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 もちろん、小紅は母も大好きだったが、おさわも実の母のように慕っていた。特に母が亡くなってからの年月はおさわが側にいなければ、乗り越えられなかったかもしれない。父に意見して頬を打たれ、泣いている小紅を抱きしめてくれたのも、冷たい手ぬぐいで頬を冷やしてくれたのも優しい乳母であった。

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