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―く、苦しい。息ができない。
　小紅は与えられる苦悶にもがき、渾身の力で抗った。しかし、相手は屈強な男、哀しいかな、小紅の抵抗は児戯にも等しい。
　もう、駄目。と小紅は眼を閉じた。恐らく、ここで自分は縊られて死ぬのだろう。だが、考え様によっては、それも悪くはないかもしれない。自分の死は栄佐にとってけして悪い方には働かないだろう。自分さえ消えれば、栄佐の迷いも消え、晴れて角倉家に戻ることができる。